植村康平建築設計事務所

WORKS

私たちは日々の暮らしの中で色々なクリエイティブな作業を行っている。それは子供たちの遊びの中にあったり、料理や裁縫などの家事の中にあったり、自転車や楽器演奏、読書などの趣味の中にあったりと様々である。また広義な意味で言えば家族や客人とのコミュニケーションをとることもクリエイティブの一種ではないだろうか。その様なクリエイティブの起点となる”アトリエ”を持つ住宅を考えた。このアトリエは、時にはスタディールームになったり、時にはキッチンやパーティールームになったり、時には音楽室やシアタールームになったりとその時の状況やライフスタイルの変化に合わせて使い方を変える事ができる。いわば住宅の中の余白である。こういった余白を住宅に内包する事で各部屋は個々の用途に合わせて必要最低限の大きさに抑える事ができ、暮らしの質を向上させつつも住宅全体を小さくする事が可能となった。 また本敷地の最大の特徴は約4mの高低差である。この高低差こそがこの敷地の魅力であり、この高低差を打ち消してしまう人工物(擁壁等)を使わない、高低差を利用したスキップロア型の住宅とし、アトリエを中心に家族がどこにいても緩やかな繋がりを感じられる計画とした。

  • type:住宅
  • at:東京都世田谷区
  • size:73㎡

アトリエのある家

本計画は延べ床面積約30坪程のやや小ぶりな住宅の計画である。
一般的に小ぶりな住宅を作る場合、一つ一つの部屋の大きさを確保するために廊下や階段等の"部屋以外"の面積をいかに小さくするかが重要となってくる。その観点からすると日本の古い住宅に見られる"田の字プラン"の住宅は廊下や階段などの無駄を省いた究極の形かもしれない。本計画はその田の字プランをさらに発展させた"囲の字プラン"を用いた住宅である。廊下や階段は田の字プラン同様省かれており、部屋と部屋が繋がっている状態である。そして囲の字プランの中央部分を何かの部屋とするのではなくあえて"余白"として残している。
若いクライアントが今後この住宅で生活していくにつれ、子供も成長し、また家族が増える可能性もありまたは何か自宅で教室を始めるかもしれない、時に留学生がホームステイするかもしれない、時にはホームパーティーをするかもしれない、といったようにライフスタイルは日々変化していくものであり新築の時点でベストな住宅ではなく、どのようなライフスタイルになっても柔軟に対応出来、常にベストな状態を保てるような住宅を考えた。その柔軟さを持つのが"余白"である。余白に面する建具や間仕切りを操作し、余白とエントランスを一体利用することにより教室になったり、余白を使い子供部屋を大きくしたり、LDKを大きくしたり、時にはエントランスからLDKを超えテラスまでも一体利用して大きなイベントも開催する事も可能である。

  • type:住宅
  • at:岐阜県瑞穂市
  • size:100.20㎡

棲家の余白

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